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ふく百話(71)

「ホルマリン事件」

1995年頃、全国のふく業界を揺るがす大きな事件が起こりました。

ふくは高級品ですが毒をもった危険な魚です。いろいろな事件が起こりましたが、私が考える最大の事件はホルマリン問題です。1990年代になって養殖魚の主流であったハマチやタイ養殖が生産過剰、飼料の高騰などにより採算が悪化しました。そのため生産者は、より単価の高いトラフグやヒラメなどの魚種に切り替えました。中でもトラフグは高級品でしたが寄生虫等の疾病が発生しやすく養殖は困難でした。そのような状況下、安価で寄生虫駆除に高い効果を発揮するホルマリンを使用するようになり格段に飼育効率が上がったのです。

ホルマリンを用いた消毒法は「薬浴」と呼ばれ、海面の生け簀をブルーシートで囲み、その生け簀にホルマリンを注ぎ、その中でトラフグを一定時間泳がせ、寄生虫を死滅させるものです。作業後はシートをはずし、ホルマリン希釈海水は、そのまま海に流れ出します。熊本県の天草や愛媛県の宇和海で真珠養殖のアコヤ貝が大量に死滅する事件がおき、ホルマリンが疑われました。当初はホルマリンが原因なのかよく分かりませんでした。そして「食の安全」や「漁場環境の悪影響」などは大きな問題となっていませんでした。

ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液にメタノールを添加したものです。防触、消毒剤、合成樹脂原料として用いられ、毒物として劇物取扱法で劇物に指定されています。その主成分ホルムアルデヒドは発がん性が指摘されています。

科学的にはホルマリンは非常に酸化されやすい物質で、少量なら容易に空気中の酸素で酸化され分解されます。ただし、ホルマリンが酸化してできるギ酸は、濃度が高い場合はふれただけで皮膚が水疱を起す強い作用があります。

南風泊水産加工団地で働く多くのフグ処理師は、中国産養殖トラフグの解体で皮膚の炎症に悩みましたが当時、原因がよくわかりませんでした。

その後、各県の調査で当時養殖フグ生産日本一の長崎県で6割のトラフグ養殖業者が、フグに付着する寄生虫駆除のため水産庁から使用禁止の通達を受けていたホルマリンを使っていたことが発覚、同庁の要請で各県が聞き取り調査を行ったところ、熊本、大分県でも使用が確認できました。

大手新聞でもこの事件が大きく取り上げられ、養殖魚はすべて「薬漬け」のような内容が連日記事となり業界は危機感を感じました。畜産にも必要な薬は使われていますが、養殖魚への風当たりが強かったのです。

このホルマリン事件対応は松村社長が就任して最初の大きな仕事でした。生産者は少しでも歩留まりを上げるために使用する、一方で仲卸人は消費地市場、消費者の目が安全性に厳しい。仲卸人総会で取り扱いについて反対の立場となりました。魚市場は生産者に近い立場にいますので取り扱いたいので、板挟みになり苦慮しました。1週間に1度は全国から取材が来る、シーズン入り9月29日のふく祭りが近づきました。松村社長はこのままでは今シーズンはふくは売れなくなると危機感を抱き魚市場、生産者、仲卸人で安全対策共同記者会見を開きました。

長崎県はホルマリン残留検査を行い、専門家による「健康上問題ないレベル」との評価を受けて出荷を決定し、熊本、大分県は今年の養殖フグについて「ホルマリン使用はなかった」との見解を示し、事実上の安全宣言を出しました。

現在、ホルマリンは薬事法で正式に使用禁止となっています。