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ふく百話(24)

「ふく料理の名わき役」

ふく料理に欠かせない名わき役には「ねぎ、ぽん酢、もみじおろし」等があります。それぞれに「下関ふく」を冠にした製品もあります。

(1)ぽん酢。ふく料理には、必ずぽん酢がつきます。ポン酢の語源はオランダ語の柑橘類の果汁を表す「ポンス」からこの言葉が誕生したようです。当時は「橙(だいだい)果汁」と訳していました。今でも正式に「ぽん酢」というのは

橙などの黄色果汁です。一般家庭で利用が多い黒っぽい酢は、だいだい果汁を鰹節や醤油などで味付けし「ポン酢しょうゆ」と呼ばれます。下関名産「ふくしょうゆ」として販売されているものの正式表示は「ぽん酢しょうゆ」です。萩市で多く栽培されているのは「夏みかん」(夏だいだい)と呼ばれますが、正確にはダイダイと夏ダイダイは別の種類です。昔、東京の高級ふく料理店では秋に店を開け、春の彼岸には店を閉めていました。シーズンが始まる案内状には「橙の実が色づいてまいりました。ふくシーズンの到来でございます」と記されました。橙の語源は代々で実が年を越えて樹上に留まる。また萩の武家がこれからも末永く代々、家が続くようにというのもあります。大分県では「かぼす」というのもあります。昔は調味料というよりかぜ薬や蚊取り用に使われた。語源は蚊をいぶすために使ったから、カイブスからカボスに、またダイダイより香りが倍もあるので「香倍酢」からカボスになった説もあります。ふくは脂肪分の少ない旨味のある白身魚です。刺身しょうゆとわさびでは刺激が強すぎるのです。ポン酢の良さは美味しさを包み込み、旨味を引き立てる役割があります。ふく料理を味わうには相性の良いポン酢が欠かせないのです。そのためポン酢の味で店の評価が決まるともいわれています。南風泊市場時代に聞いた話ですが、料亭には、それぞれのポン酢の味があり、板場さんが店を辞めるとき自身のオリジナルであるポン酢を真似できないように、味を崩して辞めるということでした。高級な店では私には少し酸っぱいポン酢が出ます。最近は果汁ポン酢が増えました。これだときついポン酢が好きではない人にも合います。

(2)ねぎ。ふく料理は「ねぎ」にもこだわります。JA下関ねぎ部会のホームページによると、ねぎ栽培は明治時代の初めより下関市安岡地区で始まりました。安岡地区は対馬暖流の影響を受け、温暖な気候と、土地が砂地で水はけがよく、ねぎ栽培に適していました。それで安岡ねぎと呼ばれています。安岡ねぎは淡白なふくの味に合うように香りが強く、ふく刺しに巻いて食べられる細さです。ふくの白い身に映える濃い緑色で日持ちが良く、ふく料理の名わき役として欠かせません。その安岡ねぎから、さらに小ぶりな「福ねぎ」(直径3ミリの極細)が生まれ、安岡ねぎの旨味を引き継いだ「下関ねぎ」が生まれました。私はふくに合うねぎは「わけぎ」だと思っていました。あの独特のネギの香り、味がふく刺しを引き立てます。その栽培方法は球根から育てます。JAのホームページでは種と球根の区別がつきませんので質問しました。返信によれば下関ねぎ部会で出荷している「下関ねぎと福ねぎ」は両方との種からの栽培でした。わけぎは栽培に手間がかかるため年々生産者が減少しているのです。下関産わけぎは手に入りにくい状況です。「ふくのネギはわけぎ」という時代は変わりました。ちなみに私は50坪の家庭菜園をしています。今年も近所で頂いた「わけぎの球根」の植え付けを先日行いました。

(3)もみじおろし。これも下関市の業者が生産、ふく料理用に小袋に入れて販売しています。袋の表示には大根、唐辛子、こんにゃくとあります。お店や家庭での作り方は皮をむいた大根に箸で穴をあけ、唐辛子を詰めて、すりおろします。

ふく刺しや鍋の薬味として好みで入れます。「ふくは毒で舌や唇が痺れるくらいが美味しい」というのがありますが、ふく毒は呼吸マヒですから気持ち悪い状態です。たぶん、もみじおろしの入れすぎか、ヒレ酒の飲みすぎだと思います。他に下関独特のものとしてローマという春菊があります。原産地がヨーロッパのイタリアだということでこの名前がつきました。正式名称は「大葉春菊」といいます。下関市や北九州地区で生産があります。弱めでやわらかく、生でも食べられます。鍋ではしゃぶしゃぶ感覚で食べます。