ふく百話(43)
「福島県の天然とらふく」
毎週「ふく百話」を書くためにいろいろと情報収集にアンテナを張っています。
100回に向けて項目はおおまかに作っていますが、走りながら文章をまとめているのが現状です。時機を得たニュースがある場合はそれを優先しています。ニュースの情報源は新聞、テレビ、雑誌などです。最近のニュースの一番はロシアによるウクライナ侵略です。毎日、目を覆うような惨状で一刻も早く停戦して欲しいです。「ふく百話」はふくに関する記述なのでこれで納めます。もう一つの大きなニュースは2011年3月11日の東日本大震災から11年です。東京電力福島第一原発事故も同日です。私が市長に就任して2年目のことでした。本州四端で縁のある岩手県宮古市(東端)には災害援助で多くの市役所職員を派遣しました。その期間は私が市長辞任後も続きました。私も現地に2度訪問し、津波のあった海岸へ黙祷、花束を捧げました。被災地の視察も行いました。
12日の山口新聞「やまぐち釣り情報」を見ましたら「下関ふくに強力ライバル」とありました。内容は福島県相馬市沖合の延縄漁で天然とらふくが釣れ出し昨年は過去最高の30トンくらいの水揚げがあった。さっそく「福島県の天然とらふく」で検索すると情報がありました。福島県相馬市観光協会のHPによれば数年前から漁獲量が増えています。2019年は2トン、2020年は5トン、2021年は20トンを超えました。他の魚種が減少したことから地球温暖化が原因ではということです。地元ではこの天然とらふくを新たな誘客や漁業再興とすべく福島のブランド魚として取り組んでいます。今年になって試食会を行い、福島の「福」と、トラフグの「とら」を合わせ「福とら」と命名しました。
試食会ではフグ刺身(てっさ)、フグ鍋(てっちり)、から揚げ、皮ポン酢、雑炊が提供されました。料理屋さんではフルコースで1万円前後です。刺身の写真を見ましたが小皿で作ってあり、下関に比べたら切って並べただけで、芸実性はなく、まだまだ「ふくさし」ではなく「フグさし」のレベルです。なお、福島県にはフグ処理師の免許制度がなく、ふく料理を提供できる店も少ないのが現状です。記事によれば地元で全部は消費できないので西日本に出荷しているとあります。たぶん南風泊市場だと思います。市場のセリにかけられるか、仲卸人が現地のバイヤーから仕入れたり、ミガキ加工の委託を受けていると思われます。トラフグは養殖ふくが桁違いに多いですが、その中で南風泊市場は天然とらふくに関しては全国の8割くらい扱っています。全国どこの地域で水揚げされても下関へ出荷すれば全国ネットで大きさ、品質、値段、数量、一次加工、二次加工などあらゆる注文に応ずることができるのです。歴史、文化、技術、施設、人。下関ふくの優位性です。