河豚(ふぐ)の一般的な特徴
ぷっくり膨らんだ可愛らしい見た目が人気のふぐ(河豚)。ですがその身体には猛毒が潜んでいることもよく知られています。ふぐの変わった特徴と、ふぐが持つ毒についてお伝えします。
ふぐの特徴
ふぐは魚の中でも非常に見分けやすい種類です。体は少し膨らんだ楕円形で、鱗(うろこ)がなく、ヒレや口が非常に小さくなっています。ふぐはタイやカサゴなどの魚と比べて、生物学的に特化傾向が強い魚と言われています。ふぐの特徴として、多くの種は体の表面に小棘(トゲ)が散布しています。マフグのように小棘が全くない種もあります。この小棘はうろこが変化したものと言われており、うろこが無いことで皮が分厚く、丈夫になっています。骨格にもちょっと変わった部分があり、普通の魚には内蔵を守るために腹部に肋骨があるのですが、ふぐには全くないのです。また、小さいふぐの口ですが、歯は非常に鋭く強いものになっています。特殊な歯を持っているため、ふぐはエビやカニ、巻き貝などの貝類、ヒトデやサンゴ片、イワシ、サバなどの魚まで食べることができます。
ふぐの毒に関して
ふぐの最大の特徴として、体の各部にフグ毒(テトロドトキシン)を持つことがあげられます。フグ毒は内臓や皮膚、血液、筋肉の全部または一部にあり、天然のふぐの場合、種によって毒化する部位や量が異なっています。食用可能とされているふぐでも、可食部位は筋肉、皮、精巣だけです。ヒレの部分は干物に加工して火で炙り、熱燗に入れて飲むヒレ酒として食べることもあります。フグ毒による事故は致死率が5%以上と、他の食中毒よりも圧倒的に致死率が高いことで知られており、大変危険な成分とされています。テトロドトキシンは無色、無味、無臭の神経毒で、摂取後の症状としては、まず唇、舌、指先などに痺れがおこります。次に知覚麻痺、運動麻痺、言語障害、哄下 (えんか)困難、呼吸困難、血圧低下などの症状があらわれます。末期には意識混濁を発症し、呼吸中枢の麻痺により死に至ります。症状が出るまでの期間としては毒の摂取量にもよりますが、早いもので食後数分〜30分程度で発症し、1.5時間〜8時間で死に至ります。ふぐの有毒部位や毒性の強弱は種類によって異なり、姿や形、色が良く似た種でも有毒部位が違います。また同じ種類でも生息海域や季節によって個体差があり、これらがふぐの処理や調理を難しくしています。以上の危険性から、未処理のフグを消費者へ販売することは禁止されており、日本ではフグ調理師免許などといった免許や講習が必要になります。