ふく百話(84)
「ふくの初セリ」
1月4日は南風泊市場にて「ふくの初セリ」が行われました。例年4日です。
全国の市場に先駆けてのセリと、独特の袋セリ、扱う魚が「幸福のふく」となって毎年ニュースで取り上げられます。素晴らしい下関ふくの宣伝です。
NHKでの全国放送、お金を出したら一体いくらになるのか。その経済効果に魚市場職員時代、市長時代、そしてOB応援団として毎年ありがたく思います。
今年の値段、天然物最高値は1キロ1万5千円で昨年より2千円の安値。
入荷量は外海物(日本海)、内海物(瀬戸内海)、養殖物4トンと昨年より1トン入荷が増えました。特に天然物は天候がよく順調な操業だったようです。テレビのニュースを何度も見ましたが5キロから8キロの大型のトラフグが多かったです。主な出荷先は関東、関西です。コロナ感染拡大で外食は伸び悩んでいますが、ギフトや宅配は引き続き好調ということです。
郷田社長のコメントは「これから白子も美味しくなります。下関の安全・安心な、ふくを消費者にしっかり食べて頂きたい」というものでした。
山口新聞記事のタイトルは「フグ初競り威勢よく」でした。今年感心したのは郷田社長のコメントが囲み記事でしっかりと「ふく」と書いてありました。
「ふく」という言葉にこだわっているなと感じました。また取材した山口新聞も郷田社長の「ふく」という発言をしっかり取材しています。さすが「下関ふく」です。
ふくの消費の最高時期は年末です。年末には出荷が間に合わないほど、多忙の業界ですが年が変わると不思議なくらい熱が下がってしまいます。ふくだけではないでしょうが、年末の多忙は新しい年を迎える人々の気持ちでしょう。
ところで、ふくが一番美味しい月は2月です。2月9日が「ふくの日」だからではなく、本当に美味しい月だから「ふくの月」「ふくの日」になったのです。私はまず水温・気温が低いことから美味しさが増すと思います。それと何より「白子」(精巣)の充実です。
昔、2月は時化が多く、海難事故も多発したことから2月9日を「ふくの日」と定め、航海安全と一年で一番美味しい月を宣伝すること、消費ピークをもう一度作ることなど、様々な理由があるのです。
近年はコロナで下火ですが、南風泊市場での「ふくの日まつり」は関係業者が多数出店し、近隣からの来場者を含め交通渋滞が起きるほど大盛況です。
これから2月を迎えます。是非、一番美味しい時期の「下関ふく」を召し上がっていただきたいものです。