ふく百話(54)
「韓国・釜山でふく刺し」
2014年10月4日、韓国・釜山で国際フードエキスポが開催されました。
釜山は一番近い姉妹都市なので市長在任中、何度も訪問しました。公式行事は釜山市長表敬訪問、朝鮮通信使韓国側窓口の釜山国際交流財団昼食会、釜山国際映画祭で「ザ・テノール」(奇跡のテノール)上映試写会などもあり行事が盛り沢山でした。夕食は釜山副市長主催の晩さん会でした。
海外でもふく市長として度々活動しましたが、ふく刺しの実演はミラノと釜山でした。受け入れは韓国調理師会・釜山支会のソ・ソンカブ会長、日本側からは山口県・下関市飲食業界代表の�蠧�フーズ社長の青木光海さんでした。
日本側から専門の調理師が実演したのち、中尾市長にも出番が回ってきました。この時はイタリアと異なりアットホームな雰囲気でしたので平常心で刺身をひくことができました。実演後、釜山調理師会の人々と昼食会、懇談会が行われました。私はふくの南風泊市場で永年勤務したのでふく全般の質問にそつなく答えました。印象に残っている質問はふく毒の話で、血液には毒はないと答えたところ韓国側調理師から一斉に驚きの声が上がったことです。「中尾市長、それは本当ですか」、あまりの驚きに当方もびっくりしました。
日本の調理テキストには、血液に毒はないと記されていますと答えました。
ふくの丸体をミガキにするときに血液はよく洗い流します。刺身にする時に血が付着しているようでは料理が台無しです。時々は筋肉に血が回り、赤くなっている場合もありますが、それが有毒だと聞いたことはありません。天然物の場合、水槽で苦労したふくをスレと呼んでいます。活魚よりも弱ったスレの方が身がしまり、赤身がかって作りやすく、美味しいのです。韓国の皆さんは下関市長はふくに大変詳しいと驚かれていました。訪問のお礼に豪華な包丁セットを頂きました。木の塊に5つの切れ目が入れてあり、5本の包丁が立てられた立派なものです。かなり重く、それも包丁なので帰りの関釜フェリーに積み込まれるのだろうかと心配しましたが、職員の配慮で無事に日本に持ち込みできました。包丁セットは我が家で今でも活躍中です。お土産の件ですが、海外訪問の際にはお土産を持参します。ふくちょうちん、日本人形、焼き物、赤間硯などがありました。市長が頂いたお土産の取り扱いに特別な決まりはありません。公式行事などのお土産で市に保存すべきもの以外は市長が頂いてよいこととなっています。国際交流部や観光交流部、港湾局などへ保管しているものもありますが、かなりの物を市長として頂きました。その多くの品物は知人へ贈与して手元にありません。しかし、妻の趣味でトルコの品々は我が家を飾っています。異国情緒があり当時を懐かしく思います。
韓国の調理師免許について調べてみました。韓国では調理師免許を「調理技能士」と呼びます。日本と同様に国家試験です。日韓ともに調理師免許を持っていなくても、業務として調理に従事することはできますが、調理師と名乗ることはできません。
日韓で大きな違いがあるのは試験の方法です。日本では筆記試験のみで実技はありませんが、韓国では筆記試験に合格したのちに、韓国料理、西洋料理、
中華料理、日本料理、フグ料理ごとに分かれて実技試験があります。それぞれに合格「調理技能士」となれます。試験は一定時間内に指定された料理を完成させる必要があり、見た目、衛生面、器具の使い方、片づけ方までチェックがあるそうです。受験資格に日本では中学校卒業以上、実務経験2年以上が必要です。韓国ではレベルが3段階あり、上のレベルの「調理長」「調理産業技師」は規定期間以上の実務経験が必要ですが、料理技能士は誰でも受験可能のようです。日本から料理留学して韓国の免許を取得する人も増えているようですが、試験問題はすべて韓国語なので語学力も必要です。

