ふく百話(88)
「感鯨料理と感福料理」
1月31日、下関グランドホテルにて感動する鯨料理。「感鯨(かんげい)料理」誕生記念発表会が開催されました。主催はやまぐち農林水産物需要拡大協議会、県飲食業生活衛生同業組合、下関市鯨肉消費拡大推進協議会です。
山口県では「ぶちうま、くじらフェアー2023」と銘打って2月1日から28日までの期間開催です。感鯨料理はクジラの舌(さえずり)を使った料理です。特殊部位なのであまり流通していませんでしたが、新たな食材として研究・開発されたものです。
発表会では串カツ、卵焼き、カルパッチョ、鯨骨(トンコツに対抗してゲイコツ)ラーメン、舌の料理は牛(ギュウ)タンに対抗して鯨(ゲイ)タンです。
話しの発端は日本最大のくじら捕鯨会社・共同船舶の所社長と下関鯨肉普及推進協議会の青木会長の会食で所社長が下関ふく料理に感動した話から、山口県飲食業生活衛生同業組合理事長の肩書がある青木会長が感動するくじら料理を作ろうと盛り上がったことからでした。その活動が業界を動かし、山口県や下関市を動かしたのです。今回、山口県の事業として取り上げられました。発表会には村岡県知事、二木副議長、西本農林水産委員長、前田下関市長、篠崎宇部市長等県内から多彩な人々が参加しました。私も下関くじら食文化を守る会として招待を受けました。最近の我が会は県の補助金を活用した2年目の事業で学校生徒向け、くじら入門DVD作成、新母船の命名選考委員、2月9日のふくの日神事に参加、岸本理事が市立大学教授として「捕鯨地域活性化専門家養成コース」担当、FM山口・日本鯨類研究所との共催で「鯨の出前講座」、テレビ山口のくじら特集、岸本理事のくじら関係図書出版会等の活動多彩です。
また同時期のニュースとして萩市の「桜ふぐ」選定がありました。春に旬を迎える「マフグ」をPRしてまちを盛り上げようと、萩市や漁業関係者でつくる協議会はブランド名を「桜ふぐ」と命名しました。
マフグ漁は3月から4月が最盛期です。漁場は主に山口県萩沖です。味は歯ごたえや甘みがあり、トラフグがふくの王様ならマフグは女王様と呼ばれています。身が柔らかく鮮度落ちが早いので消費拡大が課題でした。
事務局は萩市水産課です。中尾元市長の感想では事務局を市役所が担うということは萩市が相当力を入れているということです。その協議会が新たな取り組みとして「桜ふぐ新メニュー開発参加店を募集中です」。応募チラシを見ると新企画「萩・桜ふぐメニュー開発プロジェクト」とあります。応募資格は萩市に限定されていないようで、和食、洋食等のジャンルを問わず、飲食物を提供するフードサービスに従事する料理人またはそのチームです。
応募条件が3つあります。(1)マフグを使用する(2)未発表のオリジナルメニュー(3)料理で春や桜の彩を表現する、です。
マフグは素晴らしい食材です。父親の出身地、わが故郷の成功を祈っています。
上記、感鯨料理と桜ふぐの取り組みを見て、我が町下関のふく料理は進歩を続けているであろうかと思いました。たしかに感鯨料理考案の元となった「感動したふく料理」ですが、取り組みの手を緩めることはできませんし、取り組みは今後も長く続きます。農水省・地理的表示法による水産物では全国第一号登録のトラフグ「下関ふく」です。ふくブランド力は日本一です。しかし、そのブランド力に最近は陰りが見えます。関係者の力を団結した取り組みが今こそ必要です。
感鯨料理と何度も書いている過程で、感動するくじら料理との対比で何か良い名称はないかと考えました。その結果、思いついたのが感動するふく料理「感福料理」です。この単語がすでにあるのかどうかは分かりませんが、くじらが、感鯨ならふくは感福ではいかがでしょうか。
今後、感動するふく料理「感福料理」をどのように提供し続けるのか、和食、中華、フレンチ、韓国等、既存の料理に加えてさらなる試み、取り組みが必要ではないかと考えます。「感福料理」頑張れ。